第173回◆派遣労働者の賃金決定◆
人材派遣会社で総務を担当しています。
2020年の派遣法改正にあたり、弊社では労使協定方式によって派遣労働者の均等・均衡待遇を図ろうと考えています。
そこで、賃金を決定する要素である「能力・経験指数」をどのように考慮すべきなのか検討中です。
何かご意見を頂けましたら幸いです。
派遣労働者の賃金は、「基本給等」「通勤手当」「退職金」に関する3種類の法定基準を総合的に満たす必要がございます。
「基本給等」については、職種ごとに定められた時給に「能力・経験指数」と「地域指数」を乗じた金額となります。
ここで登場する「能力・経験指数」は、勤続年数に応じて加算される数値となっています。
事例として、派遣社員AさんをB会社の経理課に3年間派遣したあと、C会社の経理課に再度派遣させた場合は、Aさんに勤続3年以上に値する賃金を支給するべきなのか?というお問い合わせをよく頂きます。
この点については、厚生労働省の「労使協定方式に関するQ&A」によると、派遣先が求める能力・経験レベルが低ければ、該当の職務に応じた賃金を支払えばよいとされています。
つまり、労使協定方式において定める賃金額は、派遣先で従事する仕事のレベルが同じままならば、あまり変動しないとも受け取れます。
しかしながら、派遣法第30条の4第1項第2号ロでは、「派遣労働者の賃金は、職務内容・成果、意欲、能力、経験等の向上により改善されるものでなければならない」と規定しているため、昇給に関しては一定の配慮が求められるといえそうです。
※この内容は、2019年9月に寄稿したものです。
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