第81回◆競業避止義務の有効性、判断要素は?◆
企業の人事を担当しています。今回、あるスタッフの退職に伴い、同業他社への転職を制限したいと考えています。退職するスタッフは、比較的機密事項を多く取り扱う業務についており、同業他社への転職は大きな影響を及ぼすと考えています。同業他社への転職を制限することが認められるためには、どんなことに気をつけたら良いでしょうか。
在職中は、労働者に会社の利益を著しく反する競業行為(同業他社で復職をしたり、同業について事業を開始することなど)を差し控える義務があるとされていますが、退職後は、職業選択の自由により、在職中と同様の義務を求めることはできません。
そのため競業避止義務により職業選択の自由を制限するためには、相当程度の理由がなければなりません。一般的に次の5つが相当程度の理由があるかどうかの判定基準とされています。
①(競業避止義務を設けた場合の)会社の利益の程度
②労働者の退職時の地位や役職
③問題となる競業行為の内容
④制限の期間や範囲
⑤競業避止義務を課すことに対する代償措置
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