千鳥ヶ淵研究室

第185回◆パワーハラスメントの裁判例の紹介 その1◆

第185回◆パワーハラスメントの裁判例の紹介 その1◆

人事担当者です。
最近の話題として、ハラスメント問題がよく取り上げられています。
例えばパワーハラスメントの場合、どのような出来事がハラスメントとして認定されるのでしょうか?
何か判例を教えていただければと思います。


T事件(平成22年9月14日東京地裁判決)
<業務遂行上必要な指示・命令は、正当な注意・叱責に該当するとされた事案>

【概要】
Aは正社員として一般事務等に従事していたが、身体、精神の障害により業務に耐えられないことなどを理由に解雇された。
そこでAは、社長Bや上司Cによる集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求と、雇用契約上の地位確認を求めた。
【事実関係】
Aは書類をファイルする場所を間違えることが多く、電話対応にも助言を要することが多かったため、社長BはAに日報を作成させ、業務の反省点や、改善点を報告させていた。
これに対してAは、日報に反省点を記載しないと叱責されるため、不合理な自己批判を強制されたと主張している。
また上司Cは顧客からAのテレアポの感じが悪いという苦情を受けたことから、Aとミーティングを行った。
このときAは、上司Cから、かなり厳しく注意されたと感じたと主張した。
【東京地裁判断】
パワーハラスメントではない。
B社長は教育指導的観点から少しでも業務遂行能力をつけさせるために命じたと考えられ、不合理な自己批判を強制したものではない。
またCとのミーティングは声を大きくする、件数をこなすことではなく、アポの取得を目指すことなどで、厳しく注意したことが伺えるが、苦情に対する改善策としてもっともなことであり、いじめや嫌がらせの目的は認められない。

※本文章は、2019年12月に寄稿しています。


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