千鳥ヶ淵研究室

第393回 ◆36協定の締結単位について◆

Q.人事担当者です。
弊社では現在東京本社のほかに大阪支店と名古屋工場を持っておりますが、
36協定の届出は1部の提出で足りるのでしょうか。


A.結論から申し上げますと、本社、支店、工場の各事業場でそれぞれ36協定を提出する必要がございます。
労働基準法では、事業場の数え方は「場所的観念」によって決定されるものとされています。
すなわち、別の場所で活動している拠点はすべて独立した1つの事業所として考えるため
今回のケースであれば東京本社分の36協定を東京管轄の監督署、大阪支店分の36協定を大阪管轄の監督署、
名古屋工場分の36協定を名古屋管轄の監督署へ計3部作成して届出を行う必要がございます。

例外として、本社ビルの中に食堂を併設している場合など、同一の場所にあっても事業内容が大きく異なり、
従業員や労務管理が明確に区別され、労働基準法の運用上包括して取り扱うことがふさわしい場合は、
それぞれ別の事業場として解釈される場合があり、その際はそれぞれに36協定の届出が求められる場合があります。
また反対に場所を別にしている場合であっても、銀行の営業所の横に宝くじ売り場を併設している場合など、
付随している事業場の規模が著しく小さく、組織的関連や事務能力を考慮して独立性を
有さないと考えられる場合、これらの事業所は合わせて1つのものとして取り扱うことができる場合もあります。

とはいえ、原則として場所が異なるところにあれば、
それぞれで36協定を出さなければならないと意識しておくのがよいでしょう。

※本文章は2024年10月に寄稿しています


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