第1章 第4節 統計でみるテレワーク

第4節 統計でみるテレワーク

千鳥ヶ淵研究室 研究員 小林励子

1、統計の種類_企業規模別

コロナ禍において、政府のテレワーク推奨の下、日本企業はテレワークへの移行を迫られ、オフィスの閉鎖やテレワークの原則化の動きが活発となった。
東京都では、2020年3月時点と4月時点のテレワークの導入率について、東京都内の従業員規模により区分した統計データを公表している。
以下にその統計データを記載する。

都内企業(従業員30人以上)のテレワーク導入率は、2020年4月時点で62.7%となっており、3月時点の調査24.0%に比べて2.6倍と、大幅に増えている。

※出展:東京都 テレワーク「導入率」緊急調査結果

従業員規模別の導入率は、上記図のとおり大企業ほど導入率は高い。
2020年4月時点では、300人以上の企業は、約8割が導入していると回答している。
また100~299人の中小企業でも、約70%となっており、3月時点と比較すると2.8倍と、業種を問わず増えている。

※出展:東京都 テレワーク「導入率」緊急調査結果

2、統計の種類_業種別

テレワークの性質上、導入する業種としてハードルが低いと思われるのが、やはり事務・営業職となる。東京都のデータによると、2020年3月時点では、半数以下であったが、事務・営業職の業種は4月時点では34%が増加し76.2%が導入している。
主な業種は、情報通信業、金融業・保険業、サービス業である。

※出展:東京都 テレワーク「導入率」緊急調査結果

建設業・製造業、運輸・郵便業、医療・福祉、飲食・宿泊業、小売業等は、増加率は40%増と高いものの、事務・営業職の業種と比較し、導入率は55%にとどまっている。
テレワークでは代替できない、対人での業務が求められることなどが大きな要素となっていると思われる。

※出展:東京都 テレワーク「導入率」緊急調査結果

業種・業界によるテレワークの実施率について、更に詳細のデータとして、2020年4月時点のパーソナル総合研究所の統計調査を下記に記載する。
テレワークの実施率の高い業界を列挙すると1.情報通信業53.4% 2.学術研究、専門・技術サービス業44.5% 3.金融・保険業35.1% 4.不動産業33.5% 5.電気・ガス・熱供給・水道業30.8% となっていた。
一方で、テレワークの実施率が低い業界を挙げると、1.医療・介護・福祉5.1% 2.運輸業、郵送業12.1% 3.宿泊業、飲食サービス業14.5% 4.卸売業、小売業21.1% 5.建設業23.3%となっている。

3、統計の種類_都道府県別

東京都におけるテレワーク導入率は上述の通りであるが、東京都以外のテレワーク導入率についてパーソナル総合研究所が公表している。テレワーク実施率上位の都道府県をみると、1.東京都49.1% 2.神奈川県42.7% 3.千葉県38.0% 4.埼玉県34.2% 5.大阪府29.1%となっており、都市部においてテレワーク実施率が高いことが分かる。
テレワーク実施率が低い都道府県は、1.山口県4.7% 2.岩手県6.2% 3.秋田県6.2% 4.長崎県6.2% 5.佐賀県 6.8%となっている。この結果について、テレワークの実施率が悪いということではなく、地方においては満員電車による通勤がほとんど存在しないという実態もあり、テレワークの実施が合理的であるとは限らない場合もある、とパーソナル総合研究所は述べている。

4、従業員の意識調査

コロナ禍におけるテレワークの導入に関しては上述の通りであるが、従業員側から見たテレワークの利用希望についての意識調査として、内閣府が2020年6月に実施している調査がある。
テレワークの実施率が既に高い東京圏に居住している人は、今後はテレワークを中心として利用したいとの回答が多い。

※出展:内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査

5、まとめ

内閣府が2020年12月に実施した調査によると、直近のテレワーク実施率は、東京23区では42.8%であったが、全国平均では21.5%にとどまっている。
また業種では、情報通信業は、65.6%であったが、小売業11.1%、医療福祉4.8%、保育関係は1.4%と対極化している。

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