第5回◆ 休職期間中の定期報告は義務付けられる?◆
現在、医師の診断により休職させようとしている従業員がいます。休職期間中に、復職の時期の見極めや健康状態、通院状況などの病状を把握するために、定期的な報告をお願いすることは可能でしょうか。
休職期間中は、本人の様子を直接見ることができないため、症状の程度が把握できなくなります。症状によっては、休職期間の延長を視野に入れなければなりません。延長するとなれば、業務の配分や人材構成も見直す必要が生じる場合があります。企業にとって、休職期間中の状況把握は大変重要なものといえます。
また、休職中の従業員の立場でも、企業との連絡手段を設けておくことは安心感をもたらす効果があると考えられます。
このように休職期間中の定期報告は、労使双方にとって非常に有用といえます。では、定期報告を義務付けることはできるのでしょうか。
上記のように定期報告には一定の合理性が考えられます。また、厚生労働省「こころの健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」によれば、病気休業期間中においても、休業者に接触することが望ましい結果をもたらすこともあるとし、精神的な孤独や復職できるかという不安、今後のキャリア等で本人が不安に感じていることに関して、情報提供をすることが重要としています。
以上から、合理的な範囲の報告内容であれば、定期報告を設けることも認められるものと考えられます。併せて、本人の不安や焦り、孤独といった悩みを相談できる場として、定期報告を情報提供の機会として利用することも視野にいれると良いでしょう。なお、これら定期報告に関して就業規則の休職制度中に義務付ける定めを設けておくことがより望ましいでしょう。
(1)定期報告の内容としてふさわしいもの
①治療の経過と今後の見込み
②通院状況
③現在の日常生活の状況
・食事
・睡眠時間
・薬の服用状況
・日中の過ごし方
・外出の程度
・家族等との会話の程度
・不安や心配など悩み事
・次回の報告時期
(2)面接による定期報告を行う場合の注意点 (主治医にも確認をとるとよい)
・日程(体調が悪い場合は、すみやかに日程を変更する。)
・時間(負担がない範囲でおこなうこと。 20分から30分程度)
・場所(職場以外の場所でも本人の望む場所で、柔軟に対応すること)
・回数(月1回程度が目安)
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