第58回◆遅刻者に対する割増賃金の支払い義務◆
人事担当者です。今回の給与計算期間中、遅刻をした社員に残業が発生していることがわかりました。この社員に対しては割増賃金を支払う必要があるのでしょうか。
遅刻者に対して割増賃金を支払う必要があるかは、会社の始業終業時刻や
その日の本人の実働時間によって判断がわかれます。
労働基準法では、原則1日8時間を超えて労働させた場合、
25%以上の割増率で計算した割増賃金を支払うことを義務づけています。
ここにいう労働時間とは、その日に実際に労働した「実働時間」を指すと解釈されています。
たとえば、始業9時、終業18時、休憩1時間と定められている事業所において、
1時間遅刻をして10時に出社した者が、1時間残業をして19時に退社した場合、
実働時間が8時間を超えていないため、割増賃金を支払う必要はありません。
また、上述の事業所において、30分の遅刻をした者に1時間の残業が発生した際には、
残業時間が30分に達した時点でその日の実働時間が8時間に達するため、
残りの30分の残業については割増賃金を支払わなければならないこととなります。
ただし、この取り扱いはあくまで労働基準法上の原則的な解釈です。
たとえば、就業規則に「終業時刻は18時とし、終業時刻を超えて勤務した場合には
割増賃金を支給する」などと規定している場合には、実働時間が8時間を超えていなくても
割増賃金を支払う義務が発生します。
そのため、今回の社員に対し割増賃金を支払うかは、本人の実働時間と会社の規程を確認した上で
支給の要否を判断することとなります。
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