第187回◆出向中の従業員にはどちらの休職制度が適用される?◆
企業の人事担当です。当社から関連グループ企業に在籍出向中の従業員が、私傷病による休職をすることになりました。この場合、当社の休職制度と関連グループ企業の休職制度のどちらを適用させれば良いでしょうか。
出向とは、労働者が出向元との間の雇用契約に基づく従業員たる身分を保有しながら、出向先の指揮命令の下に労働することをいいます。出向時の就業規則の適用は、出向契約書中で定めることが一般的です。休職制度の取り扱いについても同様で、契約書の定めにより、出向先もしくは出向元の休職制度の適用を受けることになります。では仮に、契約書中に休職に関する取り決めがない場合はどうすればよいでしょうか。
出向契約の目的は各企業によって異なりますが、要約すればその目的は出向先で労務の提供を行うことにあります。しかし、休職制度の適用を受けた従業員は、労務の提供を行うことが出来ません。結果、出向契約の目的が果たせないことになります。したがって、このような場合には、出向先との協議の上、一旦、出向を解消し、出向元に復帰させ、その上で出向元の就業規則(休職制度)に従い、休職を実施することが、もっとも実務的な取り扱いと言えるでしょう。
なお出向契約上は、出向元に自動的に復帰する旨の定めをしておくと有効でしょう。
本文章は、2019年6月に寄稿されたものです。
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